しばらく前から取り組んでいる、UmiYomi(海詠み)についてご紹介します。
コロナ禍で何か新しいことを始めたという人、多いのではないでしょうか。
わたしにも起こったそんな変化の1つが、UmiYomi。友人でありお客様でもある、ダンサーのゆみちゃんと始めた映像プロジェクトです。
1. UmiYomiの発足まで
2. 展示のこと
3. 御礼など
変わりゆくものの記憶を記録しておきたかった
コロナ禍が始まって、通常通りに仕事をすることが難しくなった一昨年から昨年にかけて。 空いた時間に海へ通う中でふと、一つの問いが湧いてきました。
ー あと何年、今と変わらず水中を楽しめているだろうか?
歳を重ねてもずーっと潜り続けたいと、思ってはいます。
けれど体力は落ちていく。体を壊すこともあるかもしれない。
海の中だって刻々と変化し続ける。
何もかも、変わらないなんてことはない。
この島へ移り住む数年前、大規模な白化でたくさんのサンゴ礁が影響を受けたと聞いていました。8年前のわたしは、海の中で繰り返し呟いていたのです。
ー 10年前、30年前、50年前のこの場所には、どんな景色があっただろう。みたかったぁ!
そんな記憶に考えを巡らせているうちに、目の前の景色を、残しておくべきタイミングなのかもしれない、と思うようになりました。できるなら、30年後に見返しても鮮やかに記憶を刺激してくれるような、何かしらユニークな方法で。
水中写真も動画も数え切れないほど撮ってきました。
けれどわたしの場合、しばらく時間をおけば、それらを見返すことはなくなるのが常。単なるデータとしてゴミ箱に積もっていく景色のカケラたち。多分それは、写真も動画もどんなにキレイに撮れていても、実際に目にしていたものと比べれば大したことないって分かっているせいなのです。
だったら、無意識のうちにも反芻してしまうような想いのこもった記憶を、映しとれないか。 物語を綴ったら、面白いかもしれない。そう考えました。
踊る人、ゆみちゃんへのお誘い
ゆみちゃんとは数年前、わたしのスキンダイビング講習へ参加してくれたことをきっかけに知り合いました。ダンサーである彼女の参加動機は、潜ることも上手くなりたいけれど、陸では得られない水中の動きを体験し、学んで、ダンスパフォーマンスに活かしたい、というもの。
踊ることに関して、凄まじい集中力とエネルギーを発揮するゆみちゃん。探究心いっぱいの彼女を応援するのは楽しくて、サポートできることがあるなら... と見守る気持ちを持ったのがそもそもの始まりだったように思います。
水中でのパフォーマンスや撮影を目標としていたゆみちゃんには、早いタイミングで知人のカメラマンさんを紹介済みでした。ところが、コロナの影響を受けてカメラマンさんの海外滞在が長引き、撮影予定は見送ることになってしまった... それなら、練習がてら自分たちで、何か作ってみませんか。
そんなふうに、お誘いさせてもらいました。
撮影と編集は、手っ取り早くわたしが担当。水中で撮影できて、遠慮なく意見を言い合えて、なおかつフットワークが軽い新たなカメラマン探しなんぞ、そこでつまづく未来しか見えなかったからしょうがない。
撮影について深い知識も、専門器材もない。それでも、作りたいものは見えている。何も残らないまま時間だけが過ぎてしまことが、イヤだったのです。
だから今できるかもしれないことを、とりあえずやってみよう?
プロジェクター展示 @ giving tree home
手探りで始まったプロジェクトでありながら、幸運にも、展示に手を挙げてくださる場所がありました。野底にある、自家製天然酵母パンを食べられるカフェ、『giving tree home』さんです。
あれ?わたしココ住んでましたっけ?みたいな不思議な居心地の良さを感じさせてくれるお店。
アート好きで、店内の壁掛けアートも定期的に入れ替えているオーナー夫妻の樹さんと視三紀さんには、まだ作品としての形が出来上がっていない段階からいろいろとご協力いただきました。そして展示方法について彼らとも相談を重ねた結果、ギビングさんとしても初の試みになるプロジェクター展示が決定。
編集過程であれこれ悩んだ結果、まとまったのが下4本の動画です:
それぞれ独立した内容なので、合間には海や水、自然がテーマになっている詩を挟んで区切りをもたせ、最終的には全体で23分ほどのコレクションになりました。
営業時間中、それをリピートで流していただいています。
まさかプロジェクターで流すことになるなんて、制作段階では露程も想像していなかった!
プロジェクター映像、独特の雰囲気があって、よいです。MacとiPhoneのスクリーンで何百回と同じ絵面を観てきたわたしでも、初めて目にする作品のように思えたプロジェクターマジック。映像を映している店内の壁が真っ白でないところもポイントだと思います。クリームがかった白によって全体的にやさしげな色補正がかかっていて、それはそれで素敵。
ギビングさんでの展示期間中に、ちらりとでものぞいていただけると嬉しいです。
SNSでは画質が落ちてしまうこともあり、映像の全編をSNSで公開する予定は今のところありません。
展示概要
期間:2022年4月22日 - 5月23日
場所:giving tree home(HPこちら)
住所:石垣市字野底698-2
営業時間:金曜〜月曜 9AM〜4PM
作品紹介 + 裏話
作品それぞれについて。