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エレンマリーのこと

流々のプールには、名前があります。

ElaineMarie(エレンマリー)

わたしが初めて習った水中ボディワーク、アクアティック・マッサージの先生から、その名前をもらいました。今は故人となってしまった人。技術以上のことをたくさんたくさん、彼女から教えてもらいました。

私が水の側で暮らしたいと願うようになったのも、湖畔にあった彼女の家に滞在したことがきっかけです。2011年の3月、北カリフォルニアの山中で。当時、私が住んでいたのは東京でした。サンフランシスコ空港から4時間近くドライブして辿り着いたそこには、まだうっすらと雪が残っていました。吐く息が白くなるくらいの気温の中、講習の合間をぬって朝に夕に、湖の周囲を散歩したのが懐かしい。何が出てくるか分からない足元ばかりをよく見ていたので、ナイキのピンクのスニーカーを履いていたことを覚えています。

ElaineMarieの講習を受けたのは、その時と、翌年の夏でした。最後に受けた講習の終わりに、私の手を両手でギュッと握り締めた骨張った長い指を忘れることはできません。あの瞬間に強く、彼女がくれたものを大切に受け継いでいきたいという想いが、私の中に刻まれました。


プールがある庭へ降りるたび、「会いにきたよ、ElaineMarie」。そう話しかけられることが、今とても幸せです。

湖の記憶

若い頃に喘息を患っていたElaineMarieは呼吸に不安があり、指導していたのは水面ワークのみです。

ですが、かつての彼女の教え子でウォーターダンスを専門にしている人がちょうど近所に来ているから、セッションを試してみたい?そう聞かれて受けたのが、初めてのウォーターダンス*でした。


セッションの間中、そこには海がありました。

目を閉じていると、数メートル弱の空間でしかないなんて信じられなかった。縦にも横にも、自分をとりまく水は無限に広がっているに違いない、と感じたことを覚えています。


流々の「ElaineMarie」は、彼女が使っていたプールと同じサイズです。


 

*ウォーターダンス 

水中ボディワークあるいはアクアティック・ボディワークの1種。

2012〜17年、私はウォーターダンスをお仕事にしていました。水の中で行うボディワークを総称して、水中ボディワークといいます。日本で最も知られているのは、WATSU(ワッツ)でしょうか。

ElaineMarieは元々、ワッツの創始者と一緒に長くワッツ指導をしていた人です。後になってワッツと別れた彼女が始めたのが、アクアティック・マッサージというオリジナルワークです。ワッツの創始者は長身の男性だったため、小柄で手足が短めの女性には難しい技が多かった。そこで、小柄な人でも実践しやすいようにアレンジしたのがアクアティック・マッサージだった、と聞いています。


#プールの話


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